ポアソンの極限定理は証明も含めて教科書に載るくらい有名だが,教科書の証明を読んでいてあれ?と思ったので少し考えてみた.
よくある証明
を適当な正の定数とする.
を二項分布
に従う確率変数とし,
,
の極限を考える.
このとき,
(1)
であるから
となる.
気になるところ
(1) では,暗に を仮定している.
実際,各点収束をいう場合には,
を止めた後に
を決めればよいので
とすることができ,上の証明でまったく問題ない.
しかし, として
とすると,(1) は成り立たない.
つまり,二項分布の後ろの方の項(少なくとも第 n 項 = 最後の項)は,(1) だけでは収束がいえていないことになる.
実際には,後ろの方の項が収束することは,(1) ではなく, が 0 になることに依る.
したがって,真面目に証明するには,
の大小で場合分けして,それぞれが別の理由で収束することを示さないといけない.
ついでに, のとき
が定義できないという上の証明の小さなほころびも直している.
もう少し真面目な証明
について場合分けを行う.
まず のときは,
であるのでOK.
次に, の場合を考える.
であるから
よってはさみうちの原理より
また, に対して
,かつ
であるから,はさみうちの原理によって
よって
もいえる.
以上から (1) がいえるので, の場合もOK.
最後に, の場合を考える.
このとき,
かつ
であるから,
であるから,この場合も OK となる.
補足1
は自明でないかもしれないので,証明しておく.
とおくと,
ここで, とすると,
よって, のとき
は絶対収束する.
したがって,
補足2
今回 と
を同時に飛ばしたが,
のとき
として
としてから
すれば,
今回言いたかったことが簡単に言えたんじゃないかと終わってみてから気づいた.